文部科学省の調査によると、平成27年度(2015年)におけるわいせつ行為やセクシャル・ハラスメントに係る懲戒処分や訓告等の処分を受けた教職員の数が、過去最大の224人であることがわかりました。
わいせつ行為等を含む教職員が懲戒処分や訓告等を受けた全体の数は、6,320人だったということです。
用語説明
懲戒処分…公務員の懲戒処分としては、免職、停職、減給、戒告の4種類があります。免職は職がなくなることで、停職は一定期間仕事ができなくなり、給料もありません。減給は給料が下がることで、戒告は戒めることを伝えることです。
訓告…訓告は懲戒処分ではなく、戒告よりも軽い処分です。その下に、厳重注意があります。処分の重さを順位で表すと、免職→停職→減職→戒告→訓告→厳重注意です。
わいせつ行為…衣服を脱がしたり、体への接触、キス、裸体・下着姿の撮影、隠し撮り、売春、痴漢、のぞき、露出、強姦、強制わいせつ等
また、いじめ事案に関する対応が不適切だっということで、8人が処分されたということです。
いじめに関する統計が発表されたのは、これが初めてです。
近年、子供のいじめ問題がニュースになることが多く、文部科学省もこれからもっと力を入れていく方針であることが窺えます。
わいせつ行為の被害者は誰
引用:文部科学省の『わいせつ行為等に係る懲戒処分等の状況(教職員)(平成27年度)』
上の円グラフからわかるように、一番の被害者は自分の学校の生徒であることがわかります。
自校の卒業生を含めたら、およそ半分ぐらいの被害者が生徒です。
驚きなのが、小学校に通学する児童にもわいせつ行為等をしている、教職員がいるということです。
これは、通称CSA(Child Sexual Abuse)と呼ばれ、日本ではあまり議論されていないですが、即急に対策を考えなければならい問題です。
データでは12人となっていますが、児童の場合、自身が把握していないケースも数多くあると考えられ、問題となっていない可能性が高いです。
性的嗜好が多様化されている現代では、さらに被害が拡大する懸念があります。
一方、学校とは関係ない被害者は24.1%に止まります。
いかに教職員が学校関係者に手を出しているのかわかる統計です。
わいせつ行為等が行われた場所
1位:ホテル(30人)
2位:自宅(27人)
3位:自動車内(23人)
4位:教室(22人)
5位:保健室、生徒指導室等(21人)
6位:電車・バス等の公共交通機関(10人)
7位:運動場、体育館、プール等(7人)
8位:職員室(2人)
9位:その他(82人)
引用:文部科学省の『わいせつ行為等に係る懲戒処分等の状況(教職員)(平成27年度)』
わいせつ行為等が行われた場所は、上の通りです。
ホテル、自宅、自動車内と並んで、教室・保健室・生徒指導室の数がそこまで違わないことにまず驚きます。
教室や保健室など、学校の施設内でわいせつ行為をする教職員が、実際にこんなにも存在しているのです。
明らかになっていない人がどれだけいるのかわかりませんが、この数字の何倍もいることは想像に難くありません。
わいせつ行為には、痴漢やのぞきも含まれているので、電車・バスなどの公共機関、プールなども含まれています。
わいせつ行為等の態様
1位…体に触る(68人)
2位…盗撮・のぞき(49人)
3位…性交(40人)
4位…接吻(19人)
5位…文書・画像等による性的いやがらせ(12人)
6位…会話などにおける性的いやがらせ(11人)
7位…陰部等の露出(6人)
8位…痴漢行為(4人)
9位…裸体等の撮影(4人)
10位…わいせつなビデオ・DVDの販売・頒布等(2人)
11位…その他(9人)
引用:文部科学省の『わいせつ行為等に係る懲戒処分等の状況(教職員)(平成27年度)』
盗撮、文書・画像による性的いやがらせ、裸体の撮影、わいせつなビデオ・DVDの販売・頒布は物的証拠が残っている可能性が高く、わいせつ行為を証明しやすそうです。
ですが、のぞき、体に触る、会話などにおける性的いやがらせ、痴漢行為などは、わいせつ行為を証明するのが難しそうです。
ICレコーダーで録音したり、現行犯で捕まえないと言い逃れされそうですね。
ここで処分された教職員は証拠が残っていたり、自白したのだと思うのですが、大半は言い逃れされそうです。
もし認めてしまっては、最悪、免職となってしまうので教職員側としては何とか誤魔化そうとしますよね。
性交・接吻は、教職員と生徒の間では合意があったケースもあるかもしれないですが、やはり社会的に許されることではありません。
両親の立場からすると、大事な子供を信用できる学校に預けていたと思っていたのに、それは裏切り行為です。
生徒が13歳未満であった場合は、強姦罪、強制わいせつ罪に問われます。
18歳未満でも、青少年健全育成条例や児童福祉法違反に抵触する可能性があります。
過去最大224人をどう解釈するか
あなたは『教職員のわいせつ行為等に係る懲戒処分等、過去最大224人』というニュースをどう解釈しますか。
『教師の質の低下した』、『懲戒処分のラインが厳しくなった』、『SNSの発達で事件が明かになりやすくなった』など様々な解釈がきでると思います。
それと、忘れていはいけないのが、この224人はわいせつ行為等に係る懲戒処分の数で、全体では6,320人の教職員が懲戒処分や訓告の処分を受けたということです。
それも踏まえて、このニュースに関してもう一度考えてみましょう。