ホテル経営者が器物破損の損害賠償請求と社員調査で2度、興信所に依頼した体験談です。
この体験談を提供してくれたのは、福島県郡山市在住、33歳の男性です。
器物破損の損害賠償請求では、逃亡した人探し及び身辺調査で、社員調査では社員の職務怠慢や業務上不適切な行為を立証するため、社内に監視カメラを設置したようです。
宿泊業を営んでおり、お客様の器物破損があったけれど、居場所がわからない
社員の職務怠慢や業務上不適切な行為を立証したい
会社で探偵事務所、興信所に調査の依頼を考えている
このような方にとっては、特に参考になる話だと思います。
是非、参考にしてみてください。
ホテル経営者が器物破損の損害賠償と社員調査で興信所に依頼
器物破損した人が逃走したため、興信所に調査を依頼
今まで二度ほど、親交があった興信所に依頼したことがあります。
経営するホテルで器物損壊があり弁護士を挟んで損害賠償請求を進めていたところ、相手側が逃亡したため、身辺調査を依頼しました。
これは警察があてにならなかった事もありますが、知人の興信所がどれほど使えるところなのかと試しておきたかったからです。
一週間ほどで相手方の情報が手に入り、恋人のアパートに潜伏しているとの事なので「警察に被害届を出していること」、「損害賠償請求の金額の概算」を明記した内容証明郵便をその住所に送り付け、警察にも住所を教えて話を進めました。
その後は概ね穏便に話がすすみました。
部下の職務怠慢と業務上不適切な行為を立証するために興信所に調査を依頼
もう一度の方は部下の職務怠慢と業務上不適切な行為を立証するために同じ興信所の方に依頼したことです。
この時は職場にカメラを仕掛けて頂きました。
一週間ほど部下がローテーション入りするときのみ撮影したところ、仕事もせずに携帯ゲーム機で遊び、客室に設置しているDVDプレイヤーの予備を倉庫から出してアニメ鑑賞、友人と長電話をしている光景、お客様への不適切な言葉遣いと仕事をしたくないがゆえに空室があるにも関わらず満室と言って予約を断っている姿と音声、度が過ぎる会社批判を含めた罵詈雑言、またこれは想定の範囲外ではありましたが、女性職員への過度なボディタッチ、上半身裸になり見せつける行為などが撮影されておりました。
すぐにこの映像をもとに女性職員を集めてミーティングを行い、聞き取り調査をして、それを職員の総意として書面に纏めました。
気が弱い職員に対してはすでに恐喝の域に達しているようなところもあり、気を回した他の職員がレコーダーによる録音をしていてくれたため証拠も手に入る形となりました。
この時は自分の業務掌握能力に疑問を感じて職員達には申し訳ありませんでしたが、ほかならぬ職員達が私の味方であったため会社組織としてはその後も人材には困ることはありませんでした。
これら撮影した映像と音声、女性たちの総意である意見書をもって日時指定で当該男性職員を呼び出しましたが、すぐに証拠提示は行わず彼にも聞き取りをすることにしました。
彼の意見をまとめると「自分はしっかり仕事している」、「この職場が好きなので頑張って会社に貢献して会社を大きくしたい」、「ゲームやアニメは見ないし嫌いだ」、「職務中に緊急の要件以外で関係のない電話はしていない」、「女性不信なので女性にセクハラなどしていない」などと、よくもここまで事実と真逆なことを澄ました顔で言えるものだと、呆れを通り越して感心するほどの殊勝な態度で話をしてくれました。
一通りの聞き取りが終わったところで待機していただいていた興信所のスタッフに連絡をとり、証拠映像の上映のために機材のセッティングを頼み、彼の前で暴言や証拠となる発言がるたびに一時停止をしながら聞き取りの確認を行いました。
彼は「心を入れ替えて働きたい」とそれでも言っておりましたが、女性職員達の意見書を手渡し、その場で全てに目を通すことを勧めました。
しかし、それも「でたらめだ」、「パワハラだ」と騒ぎ始めたため、聞くに堪えない証拠の音声を再生することとなりました。
その後もまるで子供のような論理で抵抗してきましたが、入社時に交わした誓約書を取り出し彼のサインがあることを確認させました。
この誓約書はよくコンビニなどのバイトで店舗と交わすものを参考に作成していたもので、違法性は当然ながらありません。
その書面の中身は簡単に言えば社会的な通俗や習慣、常識から著しく逸脱した行為があった場合、会社側が退職と損害賠償請求を行えるというものです。
そこでようやく観念してくれたため、彼を無事に退職させることができました。
依頼した興信所の評価
この興信所にはお世話にはなりましたが、業務能力はさして高くありませんでした。
スタッフにも彼らの上司ではなく自分が指示している事も多く、フォロー能力も低かったためあまり評価はしておりません。
二回目も依頼したのは付き合いがあった社長の人柄がよく、恩があったためです。
また、一度もの簡単な身辺調査の割には思っていたよりも金額が高かったこともあり、それからは特に業務上のお付き合いがありません。
もうすでに依頼した興信所も閉所してしまったため、人を調べる業務上恨みを買いやすい仕事であったことから口止めも受けていることから名前、金額等は明示することはできませんが、おそらく一般的な興信所の平均価格の二割増しくらいであったと思います。
解説
多くのホテルは、賠償責任保険に加入していると思いますが、必ずしもその保険が適用できるとは限りません。
例えば、宿泊客が故意に起こした事件や喧嘩による損害は保険からお金は出ませんし、宿泊客以外の出入り業者による損害は対象外です。
そのため、器物破損が損害賠償保険で対応できない場合、物を壊した人や業者に請求する形となります。
しかしながら、必ずしも壊した人がすぐに見つかるとは限りません。
まず誰がやったのかというのがわからないケースがありますし、誰が壊したのかわかっていても、その人が逃亡してしまい、住所がわかなければ損害賠償請求できません。
そんな時に利用したいのが探偵や興信所です。
ただし、ここで大切なことは探偵や興信所に掛かる費用です。
もしも探偵や興信所に依頼する費用の方が、損害賠償請求する金額よりも高ければ、お金の面では利用する意味はないと言えます。
数千円や数万円ぐらいのものであった場合、探偵や興信所を利用した方が高くつく可能性が高いため、見送った方がいいかもしれません。
ただ、再発防止やお金の面ではなく、逃亡した人が許せないという理由であれば、探偵・興信所を利用する価値は高いです。
まずはいくらぐらい掛かるのか見積もりを取り、調査を依頼するかどうか決定しましょう。
また社員の職務怠慢や業務上不適切な行為は、ホテル経営だけでなく、どこにでも起こりうることです。
社員の職務怠慢や業務上不適切な行為は、会社側としての損失は大きいため、即急になんとかしなければならない問題です。
探偵や興信所に素行調査を依頼すれば、解雇や損害賠償のための証拠を押さえてくれます。
社員の素行に不安がある場合、早めに探偵・興信所に調査を依頼した方がいいでしょう。